週末おひとりさまが「ネコの島でヒトと出会うとき」

2015.09.10 (木)
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 こんにちは、週末おひとりさまの生活を楽しくする専門家、はにわです。素晴らしい方と出会いました。

 

 ネコの島・宮城県田代島でヒトとのふれあいを心から楽しむ島民〜阿部慶子さん〜

 

 9月9日付コラム(http://haniwap.com/column/cat-3)で掲載した宮城県田代島。この島に住むのは100人足らずだが、この島で生まれ育ち、これからも島を見守り続ける住民がいる。
 
 

 フェリーを降りて島内への道を進む途中、とある女性から「こんにちは」と優しく挨拶された。一目で地元の方だとわかるこの方こそ、島で生まれて80年以上もこの地を見守り続ける阿部慶子(あべ・けいこ)さん。
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 島でも数少ない商店を経営する阿部さんが「これからお店を開けるんですよ」とおっしゃったので、飲み物を買いつつ、お話をうかがった。
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 猫神社もある田代島では、昔からネズミを退治してくれたり、大漁を呼び込む存在としてネコが大切にされており、阿部さんは子どもの頃から多くのネコにかこまれる生活を送っていたという。
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 観光客が来るようになったのは10年ほど前。インターネットやテレビなどのマスメディアで取り上げられるようになってからだという。人口100人に満たない島に1日3便のフェリー定期便が来るのは、そうした観光客の存在のおかげだと言う阿部さんは、島に来てくれる方々に感謝している。

 

 島に来る観光客の中には、阿部さんのお店「阿部ツ商店」に立ち寄って会話をするなど、積極的にコミュニケーションを図るネコ好きな人も多い。「日々の暮らしの中で皆さんと話しているときが、とても楽しい。見たことや聞いたこともない話をしてくれたり、私の話も聞いてくれるから」と阿部さんは目を細める。
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 先日も、東京から来た若者たちと話しているとき「馬が好きだ」と言った阿部さんに、東京に戻った彼らは「馬の写真を額に入れてプレゼントしてくれた」とのことで、こちらの写真は今もお店の一番目立つところに飾られている。
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 彼女は現在、この店舗兼住居で一人暮らし。ご主人は20年前に亡くなり、お子さんもフェリーの発着地・石巻市に移住した。ただし、小学校6年生(女の子)と4年生(男の子)のひ孫さんはお盆とお正月には必ず島へ会いに来てくれるので、それを楽しみにしているのだとか。

 

 島で生まれ育った人が離れてしまう大きな要因の一つが、教育だと阿部さんは語る。今から25年以上前の平成元年(1989年)3月、唯一の小学校が廃校になったこともあり、人口減少に拍車がかかった。

 

 その結果、”昭和30年代に約1000人が住んでいこの島では、平成17(2005年)の国勢調査で平均年齢71歳・高齢化率82%の限界集落”(wikipediaより)となり、人口も100人を切った。

 

 阿部さんは小学校が健在だった昭和60年代の写真を見せてくれた。これが当時の田代小学校。当時は200人近い児童がいて、運動会も行われるなど活気のある学校だっという。
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(出展:阿部慶子さん)
 

 この頃は、写真のようなお神輿を担いで海に入るお祭りも行われていて、賑わいのあった当時が阿部さんにとっては懐しい思い出だ。
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(出展:阿部慶子さん)
 

そしてこちらが現在の田代小学校跡地。
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平成20年(2008年)までは田代島自然教育センターとして利用されていたが、それも廃止され、今ではヘリポートとして利用されているのか、大きく「H」の文字がコンクリートの上に書かれていた。
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 阿部さんもこの小学校を卒業した。当時、男の子は船員の見習いになり、その後は遠洋漁業に出てクジラ漁やマグロ漁で生計を立てるものが多かった。女の子は裁縫を習う子が多く、阿部さんも和裁縫を学んだ。中学校に進学するものは殆どいなかったという。

 

 それから75年、島での日々の中で特に印象に残っているのは、東日本大震災。地震発生時、阿部さんは店内におり、品物が倒壊するなど大変な状況になったが、幸い怪我などに見舞われることはなかった。あまりの恐怖で立つこともできなかったが、島の人に声をかけられて避難した。
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 その後、電気も水道も止まったが「軍隊(自衛隊のことだと思われる)が軍艦でやってきて、米や支援物資を持ってきてくれたので助かった。本当に感謝している」と当時を振り返る。

 

 「震災後に親戚の住む石巻などに移住しようと思わなかったのですか?」と聞いてみた。すると「ここは気候も暖かいし、人も温かい。(島には)人のことを疑うような人は誰もいない。だからここを離れたくない」と島や島民に対する言葉が溢れる。

 

 毎日夕方にはお茶飲み友達が訪ねてくれ、月に一回は船着場の「漁業センター」でデイサービスの方と一緒に体操も楽しんでいる。フェリーが到着すれば、島民の方が無償で商品を店までトラック輸送してくれる。「本当にみんなのお世話になっているんですよ」と感謝の気持ちを忘れない阿部さん。
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 「ネコのことはお好きなんですか?」と尋ねると、意外なことに「あまり好きじゃない」との答えが。「勝手にドアを開けて家の中に入り込んだり、屋根に登ったり、イタズラするから」だそうだ。

 

 ネコの島・田代島。島に訪れる観光客のほとんどがネコ目あて。もちろん、自分もその一人だったが、こんな素敵な方と出会えるなんて思いもしなかった。これだから旅はやめられないのだ。阿部さんの日々がこれからも楽しいものであることを心から願ってやまない。

 

【宮城県田代島】
▽所在地:宮城県石巻市
▽面積:3.14k㎡
▽人口:約100人
▽猫:100匹超
▽アクセス:石巻港からフェリー・網地島ライン(http://ajishimaline.com/index.html)に乗り約40分。
▽注意事項:フェリーは1日3便。島内にコンビニはありません。食べ物は事前購入がオススメです。当然ゴミは持ち帰りましょう。ネコに餌をあげる方もいますが、島内では「ネコに餌をあげないでください」と呼びかけています。

 

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