自分らしさインタビュー「社会保険労務士・久保田慎平」さん

2015.06.17 (水)
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~就業規則「作る・伝える」コンサルタント~
社会保険労務士・久保田慎平さん

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 神奈川県社会保険労務士会に所属する久保田さんは、昨年11月に社会保険労務士試験に合格、今年4月から横浜市中区で事務所を開設したばかりだが、すでに4年を超える実務経験の持ち主。

 

 社会保険労務士とは、久保田さんの言葉を借りるなら「会社と従業員間の人間関係を円滑にしたり信頼関係を構築するお手伝いをする」仕事。会社と従業員の間でトラブルが発生した際に仕事を依頼されるケースがほとんどで、特にリストラ・解雇や未払い残業について中小企業からの相談が多いという。例えば、社員のリストラ・解雇時、残業代の未払いで会社が訴訟を起こされた場合は弁護士が対応するが、問題解決後に同様のトラブルが起きないよう就業規則を作成したり、給与体系を見直す手伝いをする際には社会保険労務士の出番となる。

 

 久保田さんが社会保険労務士を目指すきっかけになったのは、新卒で就職したとある会社の劣悪な労働環境だった。大手企業だったが、一ヶ月の残業時間が100時間を超えることも珍しくない状況。日中の勤務だけではなく夜勤もあり、「月曜の朝9時に出社して翌火曜の18時退社、ということが日常的に起こっていた」と当時を振り返る。

 

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 20代前半という若さもあり、肉体的には何とか仕事をこなしていたものの、途中から 「この労働環境はやはりおかしい」と改めて気づく。そして「この状況を何とかして変えたい。どう改善していけば良いのだろう」と考えるうちに社会保険労務士の存在を知り 「これだ」と思った。社労士という選択は、大学で法学部に在籍した彼にとって「いつか法律関係の仕事をしたい」と漠然と描いていた夢を実現させることにもつながった。

 

 2010年夏に初めて社会保険労務士試験を受験するが、勉強時間が足りなかったことなどから不合格。そこで、社労士事務所で実務を積みつつ試験勉強も進める戦略にシフトし、2011年4月から横浜市内の社労士事務所で働き始めた。すると早くもその年に、最も大きな試練が久保田さんを襲う。事務所の所長が休暇で海外渡航中、とある顧客企業から「配置転換しても仕事の出来ない社員を解雇したい。1週間で決着したい」と相談されたのだ。

 

 事務所で働き始めて1年目と経験不足だったが、「労働法関係の本を読み漁って、自分がベストだと思うアドバイスをした」ところ、期限内の1週間で事態が収束。解雇は棚上げとなり、その社員の退職を促す方向に。帰国した所長からは「多分俺でもそう(いう方向に持っていって解決)するよ」と言われ、「自分はこの業界でやって行ける」と確信できたという。ピンチがチャンスに転じたとは正にこのことで、それまで以上に多くの仕事を任されるようになった。

 

 一方で、仕事と勉強の両立が上手くいかず、試験に合格したのは5回目の挑戦となった2014年。達成感や嬉しさより「もう試験勉強しなくていい」という安堵感の方が強かった。当時は仕事が充実していたこともあり、独立開業して経営者にることなど微塵も考えていなかった。

 しかし、年明けの2015年早々、事務所長から突然「別の社労士事務所と4月から合併することになる」と通達があった。同時に「久保田くんなら独立してやってく実力があるから、今までの顧客も引き継いでいい」と言われ、半ば背中を押される形で独立開業を決意。事務所探しから個人開業届け提出までわずか3ヶ月のスピードで漕ぎ着けた。

 

 独立を決めたのは「これまで4年間、自分によくしてくれたお客様(クライアント)のことを考えた」からで、他の社労士事務所に転職したら「お客様との関係が絶たれてしまう。それは嫌だった」という。独立してから2ヶ月が経過、「今までチームでやっていたことを一人でやるので確かに大変だが、全て自分の判断で自分の裁量で決められるし、世界が広がった」とプラスの面に目を向ける。「独立しなきゃ良かったとは思わないし、社会保険労務士という仕事が自分には合っているから、これからも続けていく」決意だ。

 

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 久保田さんの得意分野は就業規則の作成・変更。4年間で50件以上を手掛けているが、大切なのは就業規則を作った後に従業員に周知徹底することだという。実際に従業員向けに就業規則の説明会を実施すると、従業員側からは不満の声も上がるが、経営者側に伝えて幾つかの問題が改善されれば、両者の関係性は良くなるケースが多い。

 

 久保田さんのような若い社労士には従業員側も意見を伝えやすいようで、「ベテランの社労士には従業員も言いづらいが、僕には言ってくれる。そういう点からも今の僕にしかできないことがあると思うので、これからお客様の役に立っていきたい」と胸を張る。

 

 社会保険労務士のどういうところに「やり甲斐」を感じるのですか、と聞いてみた。すると「社会保険労務士は、実はクライアントとあまり法律の話はしない。それよりも会社の人間関係や労働環境を円滑にするための相談事などがほとんどで、そういう部分に魅力を感じる」という答えが返ってきた。

 

 それはどういう意味ですか、と続けると「中小企業の社長は、自分の生活や人生をかけて会社を守ろうとしている。そのなかで人事や労務は根幹となる大切な部分。そこを自分は任せてもらっているので、経営者と従業員にとってベストな選択肢を提案し、トラブルを解決して物事が良い方向に進むことに達成感を感じているのです」と目を輝かせる久保田さんがいた。

 

 今後の展望について尋ねると、今気になっているのは介護業界という意外な答えが。「人材不足だが高齢化の進む日本で大切な仕事。労働環境が良くないので離職率の高い業界だが、そこで働く人たちがずっと働き続けられる環境作りを手伝いたい」という。

 

 きっかけは「平成37年に介護業界では20万人以上の人出不足に陥る」という新聞記事を目にしたのと「自分の母親も介護業界でヘルパーの仕事を楽しそうに続けている。辞める人と続ける人との差は何だろう」と考えたこと。ただし、ビジネスのターゲットとしてではなく純粋に業界全体を良くしたいという信
念から、顧客としてだけ介護業界に注目している企業との差別化を図りたいと思った。そのためにはどうしたら良いのだろう?

 

 答えはすぐに出た。ターゲットとして契約を取りに行くのではなく、業界の人の気持ちを理解すれば、その人たちのための仕事ができる。そこで、母の働く施設に月1回ボランティアとして参加している。責任者からは「確かに給料は安いが、施設利用者との交流が楽しいから働いている」という生の声も聞けたことから「現場を体験して得られるものがある」と目を細めながら語る久保田さん、将来のビジョンに向けて一歩ずつ歩き始めている。

 

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【はにわレポート】
 久保田さんを一言で表すなら正義の味方。社会保険労務士になる動機が「劣悪な労働環境を改善したい」と、大きな枠組みから社会を変えたいという点からも窺えます。これまでの人生経験からご自身が生きていく上での理念や指針やハッキリしており、常にその価値基準に従って物事を判断、それを実行に移す行動力も有していらっしゃいます。
 また、第三者的な視点でご自身のことを見られる客観性から、自分の進むべき道がブレそうになると最初の理念に立ち返る、いわば自浄作用も持ち合わせている点も素晴らしいです。さらに、言葉の端々から、内面に秘めた想いや心の強さが滲み出てくる、ある意味サムライのような方です。社会保険労務士というサムライ業が天職ですね。素敵なお話の数々をありがとうございました。

 

【久保田慎平(くぼた・しんぺい)】
1983年(昭和58年)8月19日生、31歳。
神奈川県横浜市生まれ、横浜育ち。
座右の銘:苦しまずして栄光なし

 

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 小学生の頃は少年野球に夢中になる。横浜出身だが広島カープの前田智徳選手に憧れ、大のカープファン。中学校では陸上部に入り中距離(800〜1500m)選手として活躍、高校時代は「受験前の見学で立派な道場があることを知り、先輩部員の弓を引いてる袴姿が格好良かった」ことから弓道部に入部、のめり込む。

 弓道は、他の競技(武道)と最も違う点が「戦う相手がいない」こと。剣道や柔道には体格差が対戦成績に影響するが、弓道にそれは関係なく、自分との戦い。「プレッシャーには強くないが、プレッシャーを受けられる場に立てられるのは楽しかった」という。
 地元・横浜の大学に進学し、法学部に籍を置く。軟式野球のサークルに所属するが、弓道の練習場所を求めて母校の高校に足を運ぶ。母校の弓道部の顧問になる目的で1年次から教職課程(社会科)を学ぶが、「教員試験の門の狭さ」を目の当たりにし、4年次に民間企業への就職にシフト。
 2006年4月大手警備会社に就職。09年3月警備会社を退職。09年4月~11年4月:中小企業 の労働環境を知るため、イベント会社で制作管理の仕事に就く。10年夏に初めて社会保険労務士試験を受験。11年4月に社会保険労務士事務所に入所。14年秋に5回目の挑戦で社労士試験に合格。15年4月から個人事務所を開業、神奈川県社会保険労務士会横浜南支部に所属。

 

【社会保険労務士事務所 人事労務アシスト】
〒231­0027 横浜市中区扇町1-­1-­16-­408
TEL/FAX:045-­633-­9070
Mobile:090-­2627-­8297
E­mail:carp.kubota0819@4864-­assist.com

 

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