高齢者の生活に幸せと活力を!・三澤颯さん〜人間力インタビューvol.11〜

2016.05.02 (月)
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〜高齢者の生活に幸せと活力を!〜
三笠商事福祉事業部・三澤颯さん

 

 埼玉県北西部に位置する秩父市。市域の大部分が秩父多摩甲斐国立公園や武甲・西秩父といった県立自然公園に指定されるなど、緑豊かな土地に三笠商事はある。

 

 その三笠商事に2015年4月の入社と同時に福祉事業部を立ち上げ、「高齢者の生活に幸せと活力を!」というモットーを掲げ、認知症予防の講師として活躍しているのが三澤颯さんだ。
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 三澤さん曰く、認知症とは「数多くのものから特定のひとつを見つけて認知・断定する能力である“認知能力”が、低下すること」だという。

 

 具体的には、新しいものを覚えにくくなる、自分の家族のことを誰だかわからなくなるなどの症状が現れる。物忘れと大きく違うのは、例えば昨日の夜に何を食べたか忘れていたとしてもヒントを与えられると思い出すことが多い一方で、認知症では「食べた」こと自体を忘れてしまうのだ。

 

 現在、アルツハイマー型の認知症は、そのメカニズムが完全には解明されておらず、完治薬もないことから、発症してしまうと進行を抑制することができない。

 

 そこで三澤さんは、健康なうちから認知症を理解してもらい、どうしたら認知症・介護になりにくいココロ・カラダ・考え方になれるのか、を伝える言わばコーチとして活動しているが、その予防策のひとつに笑いを取り入れているのだ。

 

 認知症予防になぜ「笑い」なのだろうか?

 

 その理由は「大きく分けて四つあります」と三澤さん。

 

 まず一つ目は「笑い」には運動と同じ効果があること。認知症予防に運動は不可欠だが、ウォーキングやトレーニングなどの運動は、継続することで効果が出てくるが、長く続けるには「辛くないこと」「楽しいこと」がとても重要であると考えた、誰もが「楽しい」ときに行う「笑う」という動作に着目。

 

 笑うことによってどう人間が変わるのかを調べたところ「最近の医学では、大声で20分笑うと、40分のウォーキングと同程度の酸素排気量があり、有酸素運動として成立することが解明されている」のだという。

 

 二つ目は痛みを軽減する鎮痛作用があること。

 

  「人前で笑うなんて恥ずかしくて嫌だ」と言っていた患者が、笑うだけで痛みを抱えていたはずの肩が上がるようになったのを目の当たりにし、鎮痛作用があることを発見。マッサージをして肩の可動域を広げても、それを継続しないと元の体に戻ってしまうが、誰もが日常的にできる笑いは「副作用のない薬のようなもの」だということに気づいたのだ。

 

 三つ目は免疫力を高める作用があること。

 

 笑うことによって、ウィルスやがん細胞などの悪玉菌を殺す役割を持つ、ナチュラルキラー細胞という細胞が体内に生まれる。ナチュラル細胞は、70歳になっても80歳になっても生み出すことができる。

 

 四つ目は人間を前向きにする力があること。

 

 人間は笑うことでココロが軽くなり、人生に前向きになれるなどの効果が実証されている。仮にあまり楽しいと思っていなくても、口角を上げて大声で笑うと、人間の脳は「何か楽しいことが起きた」と錯覚して「楽しい原因」を見つけだし、そこにフォーカスすることで前向きになれるのだという。

 

 このように、フィジカル・メンタル両面から効果があることから、認知症予防に「笑い」を取り入れている三澤さん。

 

 笑いに着目するきっかけのひとつに、中学生の頃の友人が「思い切り笑ったら、一ヶ月で腹筋が割れた」と三澤さんに伝えてきたことがある。それが「ずっと頭の片隅に残っていた」という。

 

 そんな三澤さんは、どのような少年時代を過ごしたのだろうか?

 

 埼玉県秩父市に生まれた三澤さんは、小学校一年生のときに少年野球チームに入った野球少年。学校ではあまり先生の言うことを聞かずにイタズラばかりしている、やんちゃな男の子だったが、野球仲間やクラスメートには恵まれた小学校時代だった。

 
 
 中学に上がると、野球の先輩からの誘いもあり、学校の部活ではなくクラブチームに所属。「高校に入ったら硬式野球を始めることになるのだから、どうせだったら中学から硬式をやろうと思っていた」三澤さん。ひたすら野球に汗を流す日々が続いた。

 

 その結果、なんと高校へは授業料全額免除の野球特待生として入学することとなる。

 

 それからはさらに野球漬けの毎日。入部と同時に新入生としては異例の「ベンチ入り」と抜擢され、2年生に上がる頃には上級生を追い抜いてレギュラー入り。

 

 しかし、ここで三澤さんの人生に大きな転機が訪れる。

 

 野球で使い続けた右ひじを疲労骨折するとともに、靭帯を断絶。30針を縫う大手術を受けたのだ。医師からは「完治まで1年。おそらく野球はもうできないよ」と宣告された。

 

 心のどこかで「もしかしたらこれで野球から解放されるかもしれない」という思いがよぎった。

 

 もともと野球がそんなに好きなわけではなかった。

 

 それでも元々の運動神経の良さから、常に強豪校でレギュラーとしてプレーし続け「楽しさ」より「強さ」を求める環境下で叱咤激励だけでなく、いわゆる「しごき」のようなこ
とも体験した。

 

 何度も「野球を辞めたい」と思ったが、それでも小学生から続けてきたのは、野球仲間がいたし、高校野球で甲子園に出るのにも憧れていたから。

 

 そんな時に訪れた右ひじの怪我。

 

 それでも特待生として期待されながら野球部に入部し、監督からも「怪我が治ったらレギュラーに戻す」と言われた三澤さんには、医師からの言葉に従って「野球を辞める」という選択肢は残されていなかった。

 

 医師からは「野球をできるようになるのは無理」と言われたが、リハビリを担当してくれたスポーツトレーナーから「大丈夫、頑張ろう」と言われて主にひじのリハビリに取り組んだ。

 

 高2の一年間、ほぼボールを握らずに過ごしたが、10ヶ月後の翌年2月にはボールを握れるようになれるまで奇跡的に回復。3年生となった最後の夏の大会ではレギュラーに復帰し、4番レフトで出場。

 

 残念ながら甲子園出場の機会を逃したものの、「特待生、副キャプテン、リハビリなどいろんなプレッシャーから解放されてホッとしていた」三澤さん、次に進む道はもう決めていた。

 

 それは、リハビリを担当してくれたスポーツトレーナーのようになるスポーツトレーナーになること。そのために専門学校に進学することにしたのだ。

 

 高校を卒業した2012年の春、東京都練馬区内にある柔道整復師の専門学校に進学。柔道整復師とは、主に整形外科とか接骨院でリハビリやマッサージ治療を専門に行う国家資格のこと。三澤さんは都内で一人暮らしを始めると同時に、学校が紹介してくれた治療院で働き始める。

 

 毎朝6時に家を出て6時30分から治療院で勤務。17時30分に仕事を終えた足で学校へ向かい、18時から21時までは勉強。それで一日の終わりではなく、学費を稼ぐため21時30分から24時まではコンビニでバイトする日々が続いた。

 

 これだけ頑張れたのは、高校を卒業する時に「(専門学校での過程を終える)3年後にはスポーツトレーナーとして独立起業する」と心に決めていたから。

 

 そのため、三澤さんは寝る間も惜しんで学び、働く自分へ二つの課題を課していた。

 

 ひとつは「日付が変わるまで家には帰らない」こと。バイトのない日は、24時まで外で読書したり勉強したりした。

 

 もうひとつは「3年間で本を300冊読む」こと。

 

 野球三昧でろくに本など読んだことのない18歳の青年は、将来への自分の投資として、それまで手に触れることすらなかった自己啓発本や医学本を読み漁ったのだ。

 

 どうしてそこまでストイックになれたのか?と尋ねた。

 

 すると「人生を変えたい。成功したいという思いが強かった。読書を始めた頃はつまらなかったが、たくさんの本を読むことで“普通の人間でも成功できる”ことが分かり、勉強やアルバイト、治療院の勤務など常に時間に追われる日々も頑張れるようになっていった」という。

 

 そんな生活が2年あまり続き、気がつけば専門学校3年生の夏。

 

 数ヶ月先には国家試験が控えていた。心の中にあったのは「この先の人生はどうなるのだろうか」という迷いと不安があるなか、お盆に帰省した三澤さんは中学時代の友人たちと地元・秩父の居酒屋へ繰り出した。

 

 そこで運命的な出会いを果たすことなど知らずに。

 

 店内には、三澤さんの隣に秩父市の市議会議員たちが席を取っていた。地元で顔と名前の知られる彼らが話していたのは医療や介護についてだった。

 

 当時の三澤さんは、専門学校入学時に目指していたスポーツトレーナーから介護やデイサービスといった分野に軸足が向いていた。

 

 というのも、勤務していた治療院では多くの患者が高齢者であったことから「今社会で必要とされているのは、スポーツトレーナーより高齢者を支える福祉や介護、デイサービスなのではないか」と考えるようになっていたからだ。

 

 そんな時に飛び込んできた議員たちの会話。いつしか彼らの話に耳をそばだてるようになり、気がついた時には酔った勢いもあり、都内の治療院で働いていること、柔道整復師の学校に通っていること、秩父の介護・福祉に対しても意見を持っていること、など自分の考えを見ず知らずに議員たちに伝えた。

 

 多くの議員がそんな三澤さんを相手にしなかったが、ひとりだけ興味を持ってくれた人物がいた。

 

 それが現在の勤務先である三笠商事の社長。三澤さんが最も尊敬する人だ。

 

 社長から「君は面白い。うちの会社で福祉関係の事業を始めようと思っているから、明日会社で話をしよう」と声をかけてもらった。

 

 翌日、三澤さんが社長を訪問し、思いの丈をぶつけるとトントン拍子に話が進み、その場で翌年4月から三笠商事に入社すること、同時に福祉事業部を立ち上げることまでが一気に決まった。

 

 「これで専門学校卒業後は、自分のやりたい仕事ができる」と感じた三澤さん、迷いや不安は解消されていったという。

 

 柔道整復師の国家資格にも無事合格し、2015年4月、晴れて三笠商事に入社。福祉事業部の第一人者としてキャリアをスタートさせた。

 

 まずは認知症予防のデイサービスや高齢者に対応する施設作りへの取り組みを始めた。

 

 まずは4月から秩父市の社会福祉協議会に足を運び、市内の公民館などで高齢者向けに「認知症予防に笑いを取り入れた体操教室」を開くことを提案。協議会からは無事に了承され、自ら講師として体操教室を開催。

 

 始めた当初は、参加者が僅か2人という日もあったが、会を重ねるに連れて増え続け、今では60名を超える高齢者が顔を出すほどにまで発展、人気の体操教室となった。

 

 翌2016年1月からは、講演活動にも着手。笑いを取り入れた認知症予防という、あまり聞いたことのないメソッドに多くの関心を集めるようになり、今年度から複数の市町村と業務委託契約を結んでいるほか、民間企業からも認知症予防の講師としてオファーを受けるようになっている。

 

 そんな三澤さんが現在、最も力を注いでいるのが、今年秋の稼働を目指すデイサービス施設だ。

 

 通常の施設と最も異なるのは「アミューズメント型デイサービス施設」であるという点。

 

 ストレッチや施術を行うマッサージルーム、時代劇などの映画などを鑑賞するシアタールーム、体操やゲームなどを行う娯楽ルームを完備するなど、いわゆる治療やリハビリに特化した施設とは異なる。

 

 三澤さんの言葉を借りれば「高齢者がホテルのラウンジに来たような感じで、娯楽の要素をふんだんに取り入れながら楽しんでもらうデイサービスを提供する」場所だという。

 

 アミューズメント型というのがハード面での特徴だとするならば、ソフト面での特徴は「介護感を出さないデイサービス」だ。

 

 高齢者を悪い意味でお年寄り扱いしないサービスのことで、具体的には「来訪者に赤ちゃん言葉やタメ口などを聞いたりせず、人生の大先輩として接する」ことを何よりも念頭に置いている。

 

 それは幾つかの治療院やデイサービスで、職員が高齢者に対して礼を失するような言葉遣いをしているのを目の当たりにして「こういう態度は失礼。絶対に変えないといけない」と痛感したからだという。

 

 また「男性が来やすい施設づくり」というのも常に意識している。

 

 コミュニケーション能力の高い女性と比べ、男性は高齢者になるほど自宅から外に出ず、知らない人との接することが苦痛になりやすい傾向があるという。そういったこともあり、「男性が来て楽しみたいと思うような」娯楽を施設に取り入れていく方針だ。

 

 「高齢者がデイサービスを受ける前日の夜からワクワクするような施設。そしてそこに行けばみんなが笑顔で迎えてくれるだけどなく、楽しく遊びや運動ができて、生きる活力をもらえる。そんな施設になれば」と笑顔で抱負を語る三澤さん。

 

 いま幸せなのはどんな時ですか?と質問した。

 

 すると「(認知症予防の)講演をして“楽しかった。元気が出た”などと言ってもらえた時。今まで何もできなかった自分が、人に良い影響を与えられると感じることができるから」との回答が。

 

 続けて5年後はどうっていますか?と聞いてみると、
「健康と笑いの関係についての本を出版し、少しでも多くの方にいつまでも健康でいてもらいたい」という答えが返ってきた。

 

 人生の目標については「心に闇を抱えて、苦しんでいる方を笑顔にしたい」と語る三澤さん、

 

 彼が教えるとおり「朝食前に10秒笑い、昼食前に10秒笑い、夜になったら自分を褒める」。これを毎日続けたら、全ての人がハッピーで健康な人生を送ることができるに違いない。

 

【三澤颯(みさわ・はやて)】
▽勤務先:三笠商事福祉事業部
▽電話番号:070-1339-6452(会社)
▽生年月日:1994年1月16日
▽出身地:埼玉県秩父市
▽血液型:O型
▽趣味:読書、ランニング
▽好きな休日の過ごし方:プロ野球観戦、カフェで読書

 

《これまでの人間力インタビュー(公開可能の記事のみ)》
▽Vol.10〜ライフパートナー・地主晃さん〜
▽Vol.9〜公益社団法人日本駆け込み寺・千葉隆一さん〜
▽Vol.8〜アスペルガーで社長、妻、母・アズ直子さん〜
▽Vol.7〜アロマセラピスト・平郡真紀さん〜
▽Vol.6〜ヘアメイクプランナー・川崎敏智さん〜
▽Vol.5〜理容師・藤平和馬さん〜
▽Vol.4〜ライフプラン コンサルタント・渋谷和比古さん〜
▽Vol.3〜モティベーター・鴨田剛さん〜
▽Vol.2〜社会保険労務士・大島辰徳さん〜
▽Vol.1〜行政書士やちだ事務所・谷内田真也さん〜

 

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